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企業法務

契約書のチェックをしてもらいたい。役員を解任したい。親族間の株主どうしでもめている。株主総会をどう進めれば良いか。事業承継をしたい。顧問弁護士になってほしい。
企業法務というと大企業に限った話のように思えますが、実は、法務部を持たない中小企業こそ、法的問題点を見落としたまま取引を進めたがためにトラブルに巻き込まれがちです。また、同族企業の場合、親族間の対立がそのまま株主どうしの会社支配権争いとなることもあります。近年は、中小企業経営者の高齢化が進み、事業承継の対策をどうするかといった問題も生じています。

弁護士法人川越法律事務所では、契約書の作成やチェック、新たな取引にあたっての法的助言を初めとして、株主総会対応、取締役会決議、役員の選解任手続、事業承継対策といった会社法関連法務全般を取り扱っています。特に、地域の地元企業の多くは中小企業であるため、中小企業法務に積極的に取り組んでいます。また、企業の法律顧問として継続的な対応も取り扱っています。

地域を支える地元企業を応援するため、企業法務に精通した弁護士が相談にあたりますので、ぜひご相談ください。

企業法務Q&A

株主総会

当社は取締役も株主もみな親族の小さな会社で、株主総会などまともに開いたことがありません。最近、特定の株主と折り合いが悪くなったのですが、株主総会を開いたとしても、どうせその者が株主総会に来るはずがありません。その場合、株主総会を開いたことにしてしまって株主総会議事録を作成してもよいでしょうか。

家族経営の小さな会社の場合、取締役だけでなく株主も親族であることがほとんどです。また、そのような会社の場合、株主総会を開催せず、形式的に議事録だけを作成している会社もめずらしくありません。しかし、どうせ当該取締役(株主)が株主総会に来ることはないだろうといった理由で、実際には株主総会も開催してもいないのに、株主総会議事録を作成するようなことをしてしまっては、後に当該総会決議そのものの有効性を争われることになります。そのような方法は絶対に避け、弁護士のアドバイスを受けるなどして適正な手続を踏んだ株主総会を開催すべきです。

当社は発行済株式すべてに譲渡制限がついている会社ですが、株主総会の招集通知はいつまでに発送する必要がありますか。

定時総会・臨時総会を問わず、株主総会を開催するときは原則として株主へ招集通知を発送する必要があります。この招集手続は、公開会社か非公開会社か、取締役会を設置した会社か非設置会社かといった会社の類型等によって異なります。非公開会社(発行済株式の全部に譲渡制限のついている会社)においては、原則として、株主総会の1週間前までに招集通知を発送する必要があります。ただし、株主総会において書面投票制度または電子投票制度を採用した場合には2週間前までに招集通知を発送する必要があります。

株主総会の招集通知の期限を守らなかった場合、または、一部の株主に対して招集通知を怠った場合、株主総会決議はどうなりますか。

株主総会の招集通知の期限を守らなかった場合、または、一部の株主に対して招集通知を怠った場合、招集手続の法令違反として株主総会決議の取消原因となります。ほかに、取締役会決議を経ずに代表取締役が独断で株主総会を招集した場合も決議取消の原因となります。なお、株主総会決議の取消を求める訴訟は、株主総会決議の日から3ヶ月以内に提起する必要があります。

 

当社の株主はみな親族ですが、親族間の折り合いが悪くなって会社内で内紛が生じています。次の株主総会は荒れることが予想されるのですが、いかにして乗り切るべきでしょうか。

株主総会の混乱を避けるためには、まず株主総会に出席できる資格を有するかを確認する必要があります。代理人の資格を株主に限ると定款で規定していれば、株主以外の者の出席を拒むことができます。また、株主総会において株主に質問や発言の機会を十分に与えないで総会を打ち切るなどすれば、その総会決議が後に取り消される恐れがあります。他方で、質問を受けた取締役は、株主が説明を求めた事項について説明をするために調査を要する場合などは説明義務が免除されることもあります。いずれにせよ、弁護士と協議の上、議事進行のリハーサルをおこなうなどの事前準備が重要となります。

当社の定款を変更しようと考えているのですが、株主総会においてどのような決議が必要となりますか。

株主総会の決議には、普通決議・特別決議・特殊決議があり、決議する内容によって異なりますので注意が必要です。普通決議とは原則的な決議方法で、発行済株式総数の過半数にあたる株式を有する株主が出席した上、その出席した株主の議決権の過半数をもって議決します。特別決議とは、特定の従業事項について求められる決議で、発行済株式総数の過半数にあたる株式を有する株主が出席した上、その出席した株主の議決権の3分の2をもって議決します。定款を変更する場合、特別決議事項となります。

当社は家族経営の小さな株式会社です。会社設立当時、遠方に住む叔父に頼み込んで取締役の1人となってもらいましたが、実際には取締役としての仕事はしてもらっていません。法律が改正されて取締役は1人でもよくなったと聞いたのですが、現在の法律ではどうなっていますか。

旧商法では、株式会社では取締役は必ず3人以上必要とされ、取締役会の設置も義務づけられていました。
しかし、新会社法では、株式会社は1人以上の取締役を置けば足りることとし、取締役会を設置しないこともできるようになりました。なお、取締役会設置会社においては、取締役は3人以上でなければならないとされています。
たとえ名目取締役であっても取締役としての責務を問われる場合もありますので、実態に沿った会社体制へと整えたほうがよいでしょう。 

取締役

不祥事を起こした取締役がいます。取締役を辞めてもらうためにはどういった方法がありますか。

会社と当該取締役との間で合意をして辞任をしてもらう方法があります。また、当該取締役の任期が満了するのであれば、それに伴い退任してもらう方法もあります。これらの方法がとれない場合には、取締役の解任手続をとる必要があります。ただし、解任の場合には会社の商業登記簿謄本にその旨が記載されてしまうこと、当該取締役が解任の正当理由がないとして損害賠償請求をしてくる恐れもあることから、まずは当該取締役を説得して辞任を求めるのが良いでしょう。

不祥事を起こした取締役に対して辞任を促したのですが、本人は頑なに辞任届を提出しません。当該取締役の任期満了もまだ先ですので、解任手続をとるしかないと考えています。具体的にはどのような手続をとる必要がありますか。

取締役の解任には株主総会決議が必要です。会社としては、各株主に対して株主総会招集の通知をした上で株主総会を開催し、当該取締役を解任する旨の決議をする必要があります。この決議はいわゆる普通決議で足ります。総会決議を経た後、株主総会議事録を作成することになります。

株主総会において取締役を解任しようと考えています。その取締役は同時に株主でもあるのですが、特別利害関係人にあたると考えて議決権の行使を禁じることはできますか。

最高裁は、株主である取締役は、当該取締役の解任に関する株主総会の決議については特別利害関係人に当たらず、適法に議決権を行使することができると判断しています。なぜなら、株主の有する権利の本質は、単に株式の利益配当を受けるとだけにとどまらず、会社の支配ないし経営に参加することができるという点にもあり、当該取締役が株主だからといって株主の議決権行使が禁じられるいわれはないからです。そのため、この場合、当該株主の議決権行使を禁じることはできません。

不祥事を起こした取締役を解任しようとしたのですが、株主総会での多数派工作に失敗し、解任決議が否決されてしまいました。この場合、当該取締役を解任させる方法はありますか。

株主総会において取締役解任議案が否決された場合、不正行為をした取締役を解任させる方法としては、裁判所に対し、役員の解任の訴えを提起することができます。
ただし、当該取締役の職務執行に関して不正行為や法令定款違反行為があったことを立証する必要があるほか、解任の訴えを提起する者が3%以上の議決権(株式)を保有していること、解任決議を否決した株主総会開催日から30日以内に解任の訴えを提起する必要があるなどの要件があります。

私はとある会社の取締役を務める者ですが、代表取締役と経営方針の違いで対立し、株主総会で解任をされてしまいました。しかし、私としては適切に取締役を務めてきたつもりで納得ができません。

株主総会において取締役を解任する決議が有効に成立すれば、その解任は有効です。なぜなら、役員はいつでも株主総会の決議によって解任することができるとされているからです。
しかし、株主総会決議が有効に成立したとしても、その解任に正当な理由がなければ、会社は、当該取締役に対して、解任によって生じた損害を賠償しなければなりません。具体的には、当該取締役が解任されなければ在任中に得たであろう役員報酬等があげられます。この正当理由には、取締役の職務遂行上の法令・定款違反行為、心身の故障、職務への著しい不適任等があたるとされていますので、これらの事由がないにもかかわらず、単に代表取締役と折り合いが悪いという理由のみで解任されてしまった場合、会社に対して損害賠償を請求することができるでしょう。

取締役の報酬を任期途中で減額したいのですが、株主総会でその旨の決議をすれば問題はありませんか。

任期途中で取締役の報酬を一方的に減額することは認められません。定款または株主総会決議に従って具体的に決められた取締役の報酬額は、会社と取締役との間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束することとなるからです。最高裁は、株主総会で当該取締役の報酬を無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役が同意をしない限り、報酬の請求権を失うものではないと判断しています。

取締役が常勤から非常勤に変わった場合であっても、任期途中に一方的に報酬を減額することはできないのですか。

常勤取締役だった者が非常勤取締役となったために無報酬とする株主総会決議がなされた事案において、最高裁は、任期途中で取締役の報酬を一方的に減額することは認められないと判断した上、この理は取締役の職務内容に著しい変更があった場合でも異ならないと述べています。ですから、取締役の職務内容に著しい変更があった場合であっても、当該取締役の同意がない場合、会社側が一方的に報酬を減額することはできません。

 

新株発行

当社に資金援助をしてくれる方がいるのですが、借入という形ではなく、新株を割り当てる形をとって経営にも参加してもらう方法を考えています。どのような手続が必要となりますか。

特定の者に新株引受権を与える方法を第三者割当による新株発行(第三者割当増資)と言います。
公開会社においては、既存の株主以外の特定の第三者に対して行う新株発行については、取締役会の決議のみによってできるのが原則です。しかし、特に有利な発行価額で新株を発行する場合(有利発行)、株主総会の特別決議が必要とされています。なぜなら、新株の第三者割当価額が旧株の時価を大きく割り込むような場合、従来の株主に対して株価下落という影響を与える恐れがあるからです。
他方、閉鎖会社においては、たとえ有利発行でなくても、第三者割当による新株発行を行うためには株主総会の特別決議が必要となります。なぜなら、第三者割当による新株発行は持株比率に大きな影響を与える恐れがあるところ、閉鎖会社においては、従来の株主は、株価のみならず持株比率に大きな関心を持っているからです

当社は株式譲渡制限のある同族会社です。特定の株主だけに新株を割り当てる形の新株発行をおこないたいのですが、どのような手続が必要となりますか。

第三者割当による新株発行(第三者割当増資)は、株主であるか否かを問わず、特定の者に新株引受権を付与する方法を指しますので、本件のように特定の株主だけに新株を割り当てる方法も第三者割当増資にあたります。
前の設問で回答したとおり、閉鎖会社においては、従来の株主は、株価のみならず持株比率に大きな関心を持っていることから、たとえ有利発行でなくても、第三者割当による新株発行を行うためには株主総会の特別決議が必要となります。

事業承継

当社は創業者である私が一代で大きくした会社で、私が全株式を所有しています。私が亡くなった場合、会社は誰が引き継ぐことになるのでしょうか。

全株式を所有する社長が亡くなった場合、特に事業承継の対策を講じていなければ、社長の奥様やお子様などの相続人がその株式を法定相続分に沿って相続することとなります。その場合、相続人間で誰が会社を引き継ぐのか適切な話し合いができる場合には問題は発生しませんが、相続人間で意見が対立してしまうと相続人間の遺産争いがそのまま会社内の内紛となりかねません。このような事態とならないようお元気なうちから事業承継の対策を講じておくことは不可欠と言えます。後継者への株式の譲渡、将来の譲渡に備えた遺言書の作成など事業承継には様々な選択肢がありますので、自社の問題点を整理しながら適切な対策を講じることが大切です。

顧問契約

顧問弁護士とはなんですか。中小企業でも顧問弁護士をつける意味はありますか。

顧問弁護士とは、法律顧問契約を締結することで継続的に顧問先の相談に応じる弁護士のことをいいます。大企業では法務部などの社内体制が整っていますので、法的な問題点を社内で常に検討することができます。むしろ、そのような社内体制が整っていない中小企業こそ、無用な紛争に巻き込まれるリスクが高いため、継続的に相談できる弁護士を確保する意味は大きいと言えます。

顧問弁護士にはどういったメリットがありますか。

継続的な関係のある顧問弁護士は顧問先の業務内容や業界の状況をよく理解していますので、顧問先の実情に即した適切なアドバイスをすることができます。また、専門家の意見を聞いてみたいといった程度のちょっとした相談であっても気軽に相談することができます。ビジネスの世界では迅速な対応が重要ですから、弁護士への相談が必要な場合、一から弁護士を探すという手間を省いてすぐに相談できることも大きなメリットと言えます。