知っておこう、「法テラス」の仕組み
コラム2017年07月28日
弁護士 山崎 徹
皆さんは、法テラスという国の機関をご存じでしょうか。
正式名称は、日本司法支援センターと言いますが、全国各地に地方事務所があり、川越駅西口近くにある「法テラス川越」もそのひとつです。私は、法テラス川越の支部長を務めて5年目になります。
法テラスの業務の中で、市民の皆さんに身近なものに、「法律相談」と「民事法律扶助」があります。
「法律相談」では、経済的に余裕のない方を対象に、弁護士が無料で法律相談を行っています。
この制度は、法テラスと契約をしている弁護士であれば利用することができます。私どもの弁護士は全員法テラスと契約をしているので、法律相談の予約の時に、「経済的に余裕がないので法テラスの無料相談をお願いしたい」と申出いただければ、無料で法律相談(30分)を受けることができます。法律相談は、原則、30分・5000円ですが、この金額を法テラスが負担することになるわけです。無料法律相談は、同一案件について3回まで利用が出来ます。
次に、「民事法律扶助」は、弁護士に事件を依頼する必要であるにかかわらず弁護士費用を準備できない方に対して、弁護士費用を立て替える制度です。弁護士は代理人として訴訟活動等を遂行し、他方、依頼者には弁護士費用について長期の分割で法テラスに返済をしていただく仕組みです。利息はつきません。
このような業務を通じて、市民の皆さんが法律を利用しやすい環境を作っていくことが法テラスの事業の社会的な役割です。
また、法テラスには、「法律事務所」も併設されています。
この法律事務所には、スタッフ弁護士(勤務弁護士)が在籍しています。主として、国選弁護事件と民事法律扶助事件を扱い、弁護士の公的な役割を果たすことが期待されています。
スタッフ弁護士は、民間の事務所で1年間の養成期間を経て、全国各地の法テラスに赴任しています。私どもの事務所も、スタッフ弁護士の養成事務所となっております。昨年は森田寛弁護士の養成を担当し、同弁護士は、今年1月から新潟県佐渡島にある「法テラス佐渡法律事務所」に赴任しました。
日本社会の格差と貧困が進行し、労働者の4割が契約・派遣などの非正規労働、世帯調査では、金融資産を保有していない世帯は3割にのぼります。
経済的に余裕のない方々に対する法的サービスの必要性は、日々高まっていることを実感します。
私どもの事務所も法テラスを有効に利用しながら、皆さまのお役に立てるよう日々研鑽に努めたいと思います。
これまで労働事件、離婚事件などを数多く扱ってきました。最近は交通事故の案件も増えています。 また、「憲法」や「平和」をテーマにした講師活動も積極的に行っています。事件処理にあたっては、経験を活かしたきめの細かい弁護活動を心掛けています。